専用サーバー:WordPressのインストール
はじめに
WordPressは、ウェブサイトの管理や公開に使われる人気のウェブコンテンツ管理システムです。現在では、メール、フォーラム、ストアなどさまざまな分野に進化しています。活発なコミュニティが強力なプラグインエコシステムとテンプレートを支え、エンドユーザーでも簡単にセットアップできるのが特徴です。このガイドでは、LinuxサーバーにWordPress CMSをインストールする手順を解説します。
準備
まずはSSHでサーバーに接続しましょう。接続方法がわからない場合は、初回アクセス(SSH)ガイドをチェックしてください。
本ガイドではUbuntuディストリビューションを使用し、ウェブサーバーにApache、データベースにMySQL、コア依存関係にPHPを組み合わせたLAMPスタック(Linux、Apache、MySQL、PHP)を使います。
ログインできたら、まずはアップデートコマンドを実行します。
sudo apt update
続いて必要な依存関係をすべてインストールします。以下のコマンドを丸ごとコピーして貼り付けてください。インストールには少し時間がかかることがあります。
sudo apt install apache2 \
ghostscript \
libapache2-mod-php \
mysql-server \
php \
php-bcmath \
php-curl \
php-imagick \
php-intl \
php-json \
php-mbstring \
php-mysql \
php-xml \
php-zip
依存関係がインストールできたら、LAMPスタックのコア機能が正常に動作するように、いくつかの推奨設定を行いましょう。
Apacheとファイアウォール
まずはApacheウェブサーバーがインターネットと通信できるようにファイアウォールを設定し、正常に動作しているか確認します。ウェブサーバーがインターネットからアクセス可能になるよう、適切なファイアウォールルールを作成することが重要です。
ここではApacheが登録アプリケーションとして用意されているUFWファイアウォールを使います。別のファイアウォールを使っている場合は、HTTPのポート80を通す設定をしてください。Linuxのファイアウォールについてはファイアウォール管理ガイドも参考にどうぞ。
UFWファイアウォールが有効で、SSH用のルールが作成されていることを確認します。
# SSH用ルールを作成
sudo ufw allow OpenSSH
# UFWファイアウォールを有効化
sudo ufw enable
UFWファイアウォールを使う場合は必ずSSH用のルールを作成してください!設定しないと現在のセッションが切断された際にサーバーへSSH接続できなくなります!
次にApache用のルールを作成し、ルールが正しく設定されているか確認します。
# Apache用ルールを作成
sudo ufw allow in "Apache Full"
# UFWファイアウォールのルールを確認
sudo ufw status
利用可能なプロファイルは ufw app list コマンドで確認できます。上記の例で使った Apache Full はHTTP(ポート80)とHTTPS(ポート443)の両方を許可するルールを作成します。
Apache と Apache (v6) のルールが ALLOW になっていればファイアウォールの設定はOKです。SSHルールなど他のルールも表示されるはずです。
ファイアウォールがApache用に開放されたら、Apacheが正常に動作しているか確認しましょう。ブラウザで自分のIPアドレスにアクセスしてみてください:http://[your_ipaddress]
正常ならデフォルトのウェルカムページが表示されます。表示されない場合は以下のコマンドでサービスの状態を確認してください:systemctl status apache2
MySQLのセットアップ
次はMySQLの初期セットアップです。MySQLサーバーを安全に保つために、セキュアインストールスクリプトを実行することを強くおすすめします。これは任意ですが推奨されます。以下のコマンドで実行できます。
sudo mysql_secure_installation
対話形式で進みます。最初にパスワードの検証について聞かれます。将来的に安全なパスワードのみを許可するために Y を選び、次に 1(MEDIUM)か 2(STRONG)を選択してください。
続いて匿名ユーザーの削除とrootのリモートログイン禁止について聞かれます。セキュリティのため両方とも Y を選ぶことを強く推奨します。これによりテストユーザーが削除され、rootユーザーはSSH経由のローカルアクセスのみ可能となりリスクが減ります。
最後にテスト用データベースの削除と権限テーブルのリロードを聞かれます。こちらも不要なので Y を選択してください。
MySQLが起動しているか確認するには、以下のコマンドでログインを試みます:sudo mysql -u root。成功すればウェルカムメッセージが表示されます。終了するには quit コマンドを使います。
PHPの動作確認
最後にPHPが正常に動作しているか確認しましょう。Apacheの /var/www/html/ ディレクトリに info.php ファイルを作成し、phpinfo() を実行する内容を記述します。
# nanoエディタで新規ファイルを開く
nano /var/www/html/info.php
# 以下の内容を貼り付け
<?php
phpinfo();
?>
保存は CTRL+X → Y → Enter で完了です。
ブラウザで以下のURLにアクセスし、PHP情報ページが表示されればOKです。
http://[your_ipaddress]/info.php
これでLAMPスタックのコア依存関係が動作確認できたので、いよいよWordPressの本体インストールに進みましょう。
インストール
WordPressのインストールは大きく3つのステップに分かれます。まずMySQLデータベースの準備、次にWordPress本体のインストール、最後にセットアップウィザードでの設定です。
MySQLデータベースの準備
インストールを始めるには、新しいMySQLデータベースを作成する必要があります。後のWordPressセットアップウィザードで使うので、以下の例を参考にしてください。
以下のコマンドをコピーして、データベース、テーブル、ユーザーを作成します。
# MySQLにログイン
sudo mysql -u root
# データベース作成
CREATE DATABASE wordpress;
# wordpress専用ユーザー作成
# [your_password] は任意のパスワードに置き換えてください
CREATE USER wordpress@localhost IDENTIFIED BY '[your_password]';
# ユーザーに権限を付与(まとめてコピー)
GRANT SELECT,INSERT,UPDATE,DELETE,CREATE,DROP,ALTER
ON wordpress.*
TO wordpress@localhost;
# 権限テーブルをリロード
FLUSH PRIVILEGES;
データベースとユーザーの作成が終わったら、quit コマンドでMySQLからログアウトします。これでWordPressのインストール準備が整いました。
WordPressのインストール
WordPress本体はAPTパッケージではなく、公式のwordpress.orgから直接ダウンロードする方法をおすすめします。WordPress公式もこちらを推奨しており、トラブルを避けられます。
最新リリースを一時ディレクトリにダウンロードするには以下のコマンドを使います。
cd /tmp && wget https://wordpress.org/latest.tar.gz
ダウンロードしたアーカイブを展開すると、wordpress フォルダが作成されます。
tar -xvf latest.tar.gz
展開したファイルをApacheの /var/www/html/ ディレクトリにコピーし、ウェブからアクセスできるようにします。以下のコマンドでコピー、アップロード用ディレクトリ作成、権限設定を行います。
# wordpressフォルダをコピーし所有権を変更
cp -R wordpress /var/www/html/
chown -R www-data:www-data /var/www/html/wordpress/
# アップロード用ディレクトリ作成
mkdir /var/www/html/wordpress/wp-content/uploads
# ファイル権限を調整
chmod -R 755 /var/www/html/wordpress/
chown -R www-data:www-data /var/www/html/wordpress/wp-content/uploads/
これでWordPressのインストールは完了です。セットアップウィザードは以下のURLからアクセスできます:http://[your_ipaddress]/wordpress
セットアップウィザード
セットアップウィザードでWordPressの設定を行います。最初に言語選択が表示されます。
続いてデータベース設定を入力します。先ほどMySQLで準備した情報を使うので、例に沿って以下のように入力してください。[your_password] は先ほど設定したパスワードに置き換えます。
設定が終わるとインストールを実行する画面が表示されます。これがセットアップの最後のステップです。
次のページではサイトタイトル、メールアドレス、WordPress管理者用のユーザー名とパスワードを入力します。検索エンジンのインデックス設定もここで選べます。
強力なパスワードを設定し、ログイン情報は必ず保存しておきましょう!WordPressパネルへのアクセスに必要です。
準備ができたら WordPressをインストール ボタンを押してセットアップを完了させます。
成功ページにリダイレクトされるので、ログイン を選択し、先ほどの情報でWordPressパネルに初ログインしましょう!
ログインに成功すると、WordPressパネルのダッシュボードが表示され、インストール完了です。
まとめ
おめでとうございます!WordPressのインストールと設定が無事完了しました。次のステップとして、ドメインとSSL証明書の設定を強くおすすめします。これによりデータ通信が安全になり、WordPressパネルへのアクセスも簡単になります。ぜひCertbotガイドのApacheプラグインに注目し、対話形式のセットアップで簡単に証明書を取得してください。
さらにプラグインの導入や人気のページビルダー「Elementor」の使い方については、WordPressプラグインやWordPress Elementorガイドもぜひチェックしてみてください。
質問やサポートが必要な場合は、いつでもお気軽にサポートチームまでご連絡くださいね!🙂